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市場の変動
FRBの政策対応は後手に回っている
リッチ―・ トゥアソン
債券ポートフォリオ・マネジャー
ティモシー・ イン
債券ポートフォリオ・マネジャー
トーマス・ ホレンバーグ
債券ポートフォリオ・マネジャー

FRB (米連邦準備制度理事会) は、FF (フェデラル・ファンド) 金利 の誘導目標を25bps (ベーシスポイント) 引き上げ、0.25~0.50%のレンジとしました。今後、強力な金融引き締めが進行すると予想されます。ロシアのウクライナ侵攻に伴うコモディティ価格の高騰により世界経済の見通しが悪化するなか、FRBはインフレ抑制という難題に直面しています。


FRBのパウエル議長は、第一の目標は約40年ぶりの高水準にあるインフレを抑制することであり、物価の安定のために必要に応じて行動すると強調しました。同議長はまた、経済成長と労働市場についても強気の見解を示しました。同議長は「あらゆる指標が、米国経済が力強いことを示している。金融緩和を弱めても、経済は堅調さを保つだろう」と述べました。


キャピタル・グループでは、インフレ率は高止まりし、金融政策は後手に回っているとの見方を維持しています。市場では2022年に25bpsの利上げが計7回実施されることを織り込んでいます。パウエル議長 利上げによって米国が景気後退に陥る可能性は高くないとの見通しを示しており、重大なショックがない限りは2022年の残りの期間も引き締め路線を継続すると予想されます。また、同議長は50bpsの利上げの可能性を否定しませんでしたが、何がその引き金になるかについては明言しませんでした。


パウエル議長は、前月比のインフレ率が低下することが望ましいと強調しました。FRBはインフレが制御不能になることへの懸念を強めており、FOMC (米連邦公開市場委員会) メンバーによる 最新の予測では2023年までに、長期中立金利の2.4% (同じくメンバー予測の中央値) を超えて利上げを実施する可能性が示唆されました。中立金利は、金融政策が緩和でも引き締めでもない中立的なFF金利のことです


この見解に基づき、弊社グループでは、2年物を中心にデュレーションを短めに維持し金融環境のタイト化に対応した債券ポートフォリオを選好しています。米国では長期金利がレンジ内の推移にとどまる一方、短期金利の上昇が比較的大きくなり、イールドカーブはフラット化がさらに進むと予想します。


弊社グループでは、5月のFOMCでは追加利上げのほか、QT (量的引き締め) 計画が発表され、QTは6月にも開始される可能性もあるとみています。FRBは、保有する債券が満期を迎える際に再投資をしないことでバランスシートを縮小すると考えられます。満期前の債券を積極的に売却するという選択肢もありますが、FRBが選好する手段ではないとみています。



リッチー・トゥアソン 債券ポートフォリオ・マネジャー。経験年数21年。現職以前は債券アナリストとして米高裁と物価連動債の調査を担当。

ティモシー・イン 債券ポートフォリオ・マネジャー。債券アナリストとしても、米国国債、物価連動債、金利スワップを担当。経験年数16年。

トーマス・ホレンバーグ 債券ポートフォリオ・マネジャー。債券アナリストとしても、金利戦略とオプションを担当。経験年数16年。


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