日本版スチュワードシップ・コードの受入れ

スチュワードシップ責任に対する当社方針


キャピタル・インターナショナル株式会社は、キャピタル・グループの日本法人として設立された運用会社として、2014年2月に金融庁の主導により導入され、2017年5月および2020年3月に改訂された日本版スチュワードシップ・コードの趣旨に賛同しています。

キャピタル・グループは、1931年にアメリカで創業以来、米国をはじめ世界各国で長期投資の視点に立ちボトムアップ・アプローチにより運用を行なう歴史のある資産運用会社です。我々の運用アプローチにおいては、「投資家としての責任」の行使は、「投資哲学やリサーチ・プロセス」の実践の中で一体的に実施されている、一連の投資行動として捉えています。また我々は、環境・社会・ガバナンス(Environment, Social, Governance)要素を含むサステナビリティ等に関連する様々な課題を企業価値のファンダメンタルズ分析における金融・経済指標等とあわせて包括的に見ていることから、そうした「責任投資」の考え方が我々の投資プロセスの中に自然と取り込まれています。

キャピタル・グループでは、グローバルな視点からの企業リサーチと投資活動を行っています。本コードは日本の上場株式に適用されるものではありますが、本コードに盛り込まれているテーマは、日本のみならず他の市場における我々の投資アプローチにも沿ったものとなっているため、グループ共通のポリシーとして我々の考え方を以下の通り公表致します。

原則1: 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである


キャピタル・グループは、長期投資を基本とするボトムアップの投資プロセスを採用する運用会社です。我々はグローバルなリサーチ体制を維持するための人員を確保しており、アナリストやポートフォリオ・マネジャーは毎年、世界中を調査・分析活動のために現地訪問しています。かつ、そうした企業訪問を長期的に実施し、投資先企業の経営陣らとの強固な信頼関係を築いています。そのような投資プロセスを通じて、お客様に代わり投資先企業へ投資する際、我々のスチュワードシップ責任を果たすことを目指します。

投資先企業と対話を持ち、サステナビリティを含めてその状況を把握することは、株式・債券いずれの運用であってもキャピタル・グループの投資プロセスにおいては自然なことであり、必要不可欠であると考えています。そのためキャピタル・グループのポートフォリオ・マネジャーやアナリストは、定期的に投資先企業の社長・取締役などの経営陣と直接接し、対話を持つことにより、投資先企業とのより良い関係構築を図っています。

企業の持続的成長を促し、その価値を高めるべく、当該企業の中長期的価値に係る課題等が確認された場合には、我々の投資理論に沿ったスチュワードシップ活動の一環として、投資先企業から状況の説明を受けたうえで、当該投資先企業の経営陣等に我々の投資家としての考え方を伝え、また、互いの意見交換を行なうなど建設的な対話を持つよう常に努力します。そのうえで、その後の経営陣の反応を経営の質を精査する際の一つの要素として考慮し、受託者責任を有する運用会社として、投資判断の際の重要な判断材料の一部とします。

原則2: 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである

 

キャピタル・グループは、多角化した金融サービスを提供するような金融グループの運用会社と異なり、投資運用業に特化した非公開会社のため、お客様との間で利益相反が起こるような状況は限定的であると考えますが、万一、重大な利益相反が発生した場合には、お客様の利益を何よりも最優先いたします。

また、当社では、法務コンプライアンス部が利益相反の状況を定期的に検証し、取締役会がその管理について責任を負っております。

キャピタル・グループでは、議決権の行使に関する利益相反が生じる恐れがある場合の手続き等を定めており、議決権行使判断に係る利益相反の防止及び中立性確保に向けた法令遵守態勢を構築しています。具体的には、一定規模以上の資産運用を受託している顧客で、且つ当該企業の発行する株式がポートフォリオ組入銘柄となっている場合における議決権行使にあたっては、その判断や根拠の正当性を、当該企業との関係その他関連情報を含めてスペシャル・レビュー・コミッティーにて検証する体制を構築しています。

キャピタル・グループの役職員は、グループの定める倫理規範に従い、常に高い倫理観を維持しなければならないとされ、役職員は常に、会社あるいは自己に優先して顧客利益を最優先することが求められています。

原則3: 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである


キャピタル・グループの運用プロセスでは、社内のアナリストによる見解に基づき銘柄選択を行なうボトムアップ・アプローチを採用しています。アナリストは、それぞれが何年もの長い時間をかけて担当セクターに属する企業の状況を把握し、見守り続けています。そうして時間をかけて投資先企業に関する知識を深め、定期的な対話の機会を持つことにより当該企業との間により良い関係を築いてきています。

同時に、キャピタル・グループでは、中長期的にお客様のポートフォリオで保有すべきと思われる企業の特定のために、入念なデュー・デリジェンスを実施しています。年次報告書や企業発表などの公開情報に基づく調査に加え、当該企業の経営陣や競合他社、仕入れ先業者や取引先といった様々な関係者への直接ヒアリングや現地訪問などにより当該企業のオペレーションやサステナビリティに関する理解を深めています。また、業界におけるビジネスモデルやリスク要因等を理解するため、関係する政治家や専門家、技術者などとも必要な議論を交わすことがあります。

投資先企業の持続的成長に向けたスチュワードシップ責任の一環として、キャピタル・グループでは、こうして積極的に投資先企業の事業内容の把握に努め、投資先企業との対話を大切にし、そのうえで適切に議決権行使をしております。

原則4: 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的をもった対話」を通じて、投資先企業との認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである


キャピタル・グループでは、お客様のために最善の利益をもたらすことが、我々の最優先事項であると考えています。企業の経営陣との対話は運用プロセスの一部であり、お客様により良い経済的な結果をもたらすと思われる場合には、運用担当者の考え方や懸念などを投資先企業に伝えて意見交換を行ないます。

企業の経営戦略、業績、資本構成、ガバナンス、役員構成、役員報酬、環境・社会・ガバナンス(ESG)要素を含むサステナビリティ、その他株主価値に重大な影響を与えると思われる問題に関し、私たちは投資先企業との間で双方向の建設的な対話を積極的に持つようにしています。対話によるより深い認識の共有を図ることは、問題解決への建設的なアプローチであり、株主価値を毀損するようなリスクを回避することにつながると考えているためです。

経営陣との対話において課題解消への方向性が見えてこない場合であっても、当該企業への投資の継続を考える場合には、株主や債権者のためにさらにより良い対話の糸口がないかを慎重に検討します。これには、経営陣との間でさらに対話を重ねることに加え、必要であれば経営に直接関与しない取締役(社外取締役・監査役等)との対話を持つなど、対話の相手を変えるなどの様々な方法が考えられます。また、そのような対応が適切でありお客様の利益になると考える場合には、法令や規制によって認められる範囲内で、他の投資家と協働して対話を行うこともあります。

また一方で、お客様にとっての最善の利益であると考える場合には、状況に応じ、当該企業の株式を売却することもあります。これら一連の投資行動は、専門家としての運用担当者の裁量に任せています。

こうした投資先企業との対話において、運用担当者が意図せず非公開情報を受領した場合には、キャピタル・グループのポリシーおよび当社社内規程等に従い情報を管理し、適切な対応を実施します。

原則5: 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである


キャピタル・グループでは、議決権行使を投資プロセスの重要な一部分として考えているため、投資先企業の株式の全てについて議決権行使をするように努めています。我々は議決権行使によりお客様の最大限の利益を図るべく明確な方針を策定しています。

議決権の行使は、長期的にみて株主価値を最大化する方法の一つであると考えています。運用担当者は、社内の議決権行使ガイドラインや独自のリサーチ結果に基づいて、最善の判断をするべく議決権行使に関する裁量を有しています。各議案については、キャピタル・グループとしての考え方をベースに当該投資先企業を担当するアナリスト、運用担当者により構成される議決権行使委員会(Proxy Voting Committee)により十分に精査され、より広い見地からの視点を以って議決権行使を実施します。

当社は、機関投資家としてお客様の代理で議決権を行使しているため、受託者責任の一環から、議決権行使に係る考え方、議決権の行使結果概要及び個別の議案ごとの行使結果、また重要と判断される議案についてはその賛否の理由についてホームページで公表し、その透明性の確保に努めています。

キャピタル・グループにおいて採用している議決権行使ガイドラインについては、ウェブサイトでご覧いただけます。

原則6: 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行なうべきである


キャピタル・グループでは、投資先企業との対話の概要についてお客様のご要望に応じてご報告などもさせて頂くこととしております。

加えて、キャピタル・グループでは、お客様のご要望があれば、議決権行使に関する報告書もご提供しています。 また当社は、個別の報告書とは別途、議決権行使結果の概況及び個別の議案ごとの行使結果を四半期ごとに当社ウェブサイト上にて公表しております。

原則7: 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行なうための実力を備えるべきである


キャピタル・グループでは、ボトムアップによる長期的な視点に立った運用アプローチを採用しています。キャピタル・グループでは世界的なリサーチを可能とする十分な人的資源を確保しており、アナリストやポートフォリオ・マネジャーは毎年世界中を調査のために訪問し、投資先企業の事業内容やサステナビリティ、当該企業を取り巻く事業環境に関するさらなる理解を深めるべく努めています。

運用担当者たちがこれまでの対話によって投資先企業の経営陣などとの間で築いてきた、強固で長期的観点に立ったこの良好な関係は、お客様の代わりに企業へ投資する際のスチュワードシップ責任への積極的なアプローチを可能にしています。スチュワードシップ責任を適切に果たすため、キャピタル・グループの運用担当者は投資先企業の経営陣と双方の考え方について対話を持つだけでなく、競合他社や取引先といった関係者への直接ヒアリングや 現地訪問などにより当該企業のオペレーションに関する理解を深め、業界におけるビジネスモデルやリスク要因等を理解するため、関係する政治家や専門家、技術者などとも必要な議論を交わすことがあります。

当社では、各原則への対応について実施状況を定期的に自己評価して、その結果および投資先企業との対話を含むスチュワードシップ活動の結果を公表し、自らのガバナンス体制・利益相反管理を含むスチュワードシップ責任を果たすための体制について、継続して改善を図ります。

自己評価 (2024年) (PDF)

自己評価 (2023年) (PDF)

自己評価 (2022年) (PDF)

自己評価 (2021年) (PDF)

自己評価 (2020年) (PDF)

自己評価 (2019年) (PDF)