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市場の変動
弱気相場はいつまで続くのか
ダレル・ スペンス
エコノミスト
ロバート・ リンド
マクロ・エコノミスト (欧州担当)
ジャレド・ フランツ
マクロ・エコノミスト

FRB (米連邦準備制度理事会) による追加利上げの後、株式市場と債券市場がともに不安定になるなか、痛みをともなうこの弱気相場がいつまで続くのかに注目が集まっています。


キャピタル・グループのマクロ・エコノミストであるダレル・スペンスは「2022年は厳しい状況が続いているが、これは今後も続く可能性がある。ただし、過去のすべての弱気相場と同じように、今回の弱気相場もいずれ終わる。最終的には、経済も市場も自律的に回復するだろう」と語っています。


過去の市場の動きは将来の動きを予測するものではありませんが、歴史を検証する価値はあります。過去に市場が下落した局面では、景気後退をともなう弱気相場の平均期間は約18ヵ月であったとスペンスは指摘します。したがって、2023年に弱気相場が継続しても不思議ではありません。


米国で景気後退懸念が高まり、欧州は既に景気後退入りしている可能性があるため、短期的には反発のきっかけを掴むのは難しいとスペンスはみています。8%前後で推移するインフレ率を抑制するためにFRBが積極的な金融引き締めを続ける限り、株価と債券価格にはさらなる下値圧力がかかる見通しです。


FRBがインフレ抑制に取り組むなか株式と債券はともに下落

年初来トータルリターン (%)

Volatility Bear Market Return Chart

2022年9月23日現在。FF金利は誘導目標レンジの上限。
出所 :Bloomberg Index Services Ltd.、Refinitiv Datastream、Standard & Poor's、キャピタル・グループ

FRBの利上げが一気に加速


FRBは9月のFOMC (米連邦公開市場委員会) において、6月以来3回目となる0.75%ポイントの利上げを実施しました。今回の利上げにより、フェデラル・ファンド (FF) 金利の誘導目標レンジは3.00~3.25%と、2008年以来の高水準に達しました。FOMC参加者による見通し (ドットチャート) によれば、FF金利は今後数ヵ月間で4.50%以上に引き上げられる可能性が示唆されています。


パウエルFRB議長は、FRBのタカ派的な姿勢を改めて強調し、物価安定の回復のためには金融環境のタイト化が必要であると述べました。すなわち、インフレ率を目標値である2%への引き下げに向けて取り組むということです。



ダレル・スペンス   マクロエコノミスト。経験年数31年。Phi Beta KappaおよびOmicron Delta Epsilonのメンバー。CFA協会認定証券アナリスト。全米企業エコノミスト協会メンバー。

ロバート・リンド  マクロ・エコノミスト。経験年数34年。入社以前は、ABNアムロにおいてマクロ・リサーチ・ヘッド、アングロ・アメリカンにおいてグループのチーフ・エコノミストを務めた。

ジャレド・フランツ  マクロ・エコノミスト。米国およびラテン・アメリカを担当。経験年数17年。入社以前は、ハートフォード・インベストメント・マネジメント・カンパニーにおいて国際マクロ経済調査ヘッド、ティー・ロウ・プライスにおいて国際経済および米国経済担当エコノミストを務めた。Forecasters Club of New York、National Association of Business EconomicsおよびConference of Business Economist会員。


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