Capital IdeasTM

Investment insights from Capital Group

Categories
ESG
Monitoring corporates against third-party ESG data providers
Jessica Ground
Global Head of ESG
Ali Weiner
Head of ESG Engagement

Your gateway to all things ESG at Capital Group

キーポイント
  • 外部データは投資プロセスの客観的な要素を追加していますが、ESGスコア評価機関は往々にして意見が異なる。
  • 発行体が潜在的なESGリスクに対処する方法を分析する際、詳細な調査は極めて重要。
  • 投資のモニタリングを継続しながら、個々の事象の先を見て、より大きな体系的問題を検討することが重要。

キャピタル・グループでは、外部データの使用は、将来の投資投資先候補と現在投資中の案件のモニタリングの開始点に過ぎません。企業銘柄は1  発生し得るESGリスクを特定するため、外部ESGスコアを活用して精査されます。その後、投資プロフェッショナルの投資の深い知識と理解を活用し、その課題が重要か、どのように対処されているか、当社はその情報にどのような行動をとるかを決定します。


This image details Capital Group's three-part ESG process. ESG integration enhances our investment approach, The Capital System. Investment research and frameworks reflect material ESG considerations in 30+ sectors. The monitoring process uses available third-party data to flag a subset of investments in certain asset classes for further research and review. Engagement and proxy voting involves engaging with issuers on material ESG risks and opportunities and voting proxies in the best interest of our clients. As of December 31, 2022, monitoring applies to corporate and sovereign holdings.

Source: Capital Group

* As at 31 December 2023. Monitoring applies to corporate and sovereign holdings

キャピタル・グループは投資先候補を判断する際、重要な環境、社会、ガバナンス(ESG)に注目します。2020年、当社の投資プロセスである、キャピタル・システム℠に、互いに補完するよう設計された3つの要素:リサーチ、エンゲージメント、モニタリングを通じて、ESGがどのように明確に組み入れられているかの概要を示しました。


緊密に結び付いた3つの要素が特徴のESGアプローチ2


当社の投資プロセスのモニタリング項目には、可能な場合には、外部のESGスコアを活用した企業銘柄の精査と、さらなる調査に値する潜在的なESGリスクの特定のための基準を含みます。その後、投資プロフェッショナルの投資の深い知識と理解を活用し、外部評価機関でフラグ付きとなった課題が重要か、その課題にどのように対処しているか、追加の行動が必要とされているかどうかを判断します。


モニタリングの段階は、体系的なESGアプローチを確実なものとするのに役立ちます。また、モニタリングは、外部データを体系的に導入することで確証バイアスを防ぎ、単にすでに持っている認識を強める情報を求める、または選好する状態を避けることができます。当社の投資を外部評価機関データを活用してモニタリングすることでで、ESG統合プロセスに客観性の要素が追加されます。


当社のモニタリング基準とは?


キャピタル・グループは、外部データを活用して株式および社債の発行体をモニタリングする際、6つの基準を使用します。当社では、国債には異なる手法を適用しています。これについては今後の出版物で検証していきます。


THIRD-PARTY ESG DATA SOURCE

SCORING RANGE

CAPITAL GROUP FLAG THRESHOLD

MEASURES

MSCI UN Global Compact

Pass, Fail or Watchlist

    Fail

Violations of global norms (human rights, labor rights, environment, bribery/corruption)

MSCI ESG absolute score

Scale of 0–10

    <3

Performance on material ESG issues relative to MSCI universe

MSCI ESG adjusted score

Scale of 0–10

    <1

Performance on material ESG issues relative to industry peers

MSCI governance score

Scale of 0–10

    <3

Variety of traditional governance factors; flags align with Capital Group's proxy guidelines 

ISS OECD Guidelines

Amber, Green, Red

    Red

Violations of global norms, in addition to consumer interests, science and technology, competition and taxation

 
Note: A separate process is employed for monitoring of sovereigns.
Source: Capital Group, MSCI, Institutional Shareholder Services Inc. (ISS). Latest as of February 2024.

社債の基準には規範に基づく精査を含みます。別の言い方をすれば、投資は国連グローバルコンパクトで具体化された社会的規範をどれくらい順守しているかに基づき評価されます。外部評価機関で「失格(fail)」の評価がついた企業は、当社にとっても要注意となり、当社はその発行体をさらに調査します。


当社のプロセスでは、MSCIとサステナリティックスのデータも活用します。当社は各データソースが提供する全体のESGスコア、2つのソースの評価が一致する程度、企業がMSCIガバナンス指標でどのようなスコアであるかに注目します。各指標に具体的な閾値を決めて、重要である可能性が最も高い課題にフラグを立てるのに役立てています。


モニタリング基準


株式および社債投資には、この表に示される、2つの評価機関データ(MSCIとサステナリティックス)および6つの異なるスコアリング手法を使用します。3


重要なのは、当社の技術への投資が、このプロセスの大規模な実施を可能にしているということです。外部評価機関からのスコアの変更を速やかに特定できるように、月例で、全ての企業銘柄をモニターしています。


外部ESGスコアの正確性


A view of an example equity portfolio

As of March 31, 2024,ǁ eight holdings in NPF's portfolio, or about 3%, were flagged in the ESG monitoring process. These holdings are monitored by analysts and subject to a heightened level of research and potential engagement.

For illustrative purposes only.

表面上、異なるプロバイダーからのESGスコアは同じように見えます。例えばMSCIとサステナリティックスの両方が業界別ESGリスクに対する発行体のエクスポージャーと、それがどれくらい適切に管理されているかを考慮しています。コメントの中には、ESGスコアを信用格付けと比較しているものもあります。


しかし、MITスローン経営大学院が実施した最近の調査によると、主要格付機関の格付の間の相関はわずか0.61であることが判明しています4。相関性は2つの変数間の関係性の強さを測定します。相関性1とは、強いプラスの関係性があることで、–1とは強いマイナスの関係性があることで、0は関係性がないということです。相関性0.61とは主要なプロバイダーのスコアが互いの関係性が比較的弱いことを示しています。これとは対照的に、信用格付け会社間の相関は0.92であり、相関性は信頼性がより高く、強くなっています。


異なる評価機関(以下)からのESGスコアの間の関係性を当社で分析したところ、同様に不明確な様相を呈しています。2つの評価機関は、同じ測定基準全体で、同一ユニバースの企業に非常に異なるスコアを付けています。


MSCIとサステナリティックスのスコア比較5


ACWIインデックスに対するMSCIとサステナリティックスのESGスコアは、例えば、同じユニバースの企業が非常に異なるESGスコアが付いていることを示しています。


多くの人が、ESGスコアの正確性は成熟するにつれ時間と共に向上すると指摘しています。しかし別の論文では、より大規模なESG開示が進むと評価の不一致が一層拡大することが指摘されています。6


この不一致の主な原因は手法の違いです。例えば、MSCIの格付は、同業他社との比較で企業を評価しています。モーニングスター傘下のサステナリティクスは、業界または地域のESGリスクを管理するために企業がどのような行動を取っているかを考慮したうえで、そうした業界または地域のESGリスクに対するエクスポージャーに基づいて企業を評価します。さらに、各課題(環境、社会、ガバナンス)を考慮したウエイトはプロバイダーごとに異なりますし、さまざまな過去の問題を考慮して課題の重要性も異なる可能性があります。


A view of an example equity portfolio

As of March 31, 2024,ǁ eight holdings in NPF's portfolio, or about 3%, were flagged in the ESG monitoring process. These holdings are monitored by analysts and subject to a heightened level of research and potential engagement.

This donut chart shows, of the holdings in the example equity portfolio, the percentage that were flagged during the ESG monitoring process and thus required an elevated level of research and engagement. 97% of the holdings were 'non-flagged' while 3% of the holdings were flagged.

For illustrative purposes only.

こうした証拠は、私たちがモニタリングプロセスで複数のインプットとプロバイダーを使用することの根拠となっています。また単一のESGスコアを超えて深掘りする重要性も示しています。


モニタリングは体系的な課題というより、むしろ事象にフラグ付けする傾向があります。


2021年始めに、弊社のESGスペシャリストは、2020年にアナリストとポートフォリオ・マネジャーが仕上げた約200のモニタリングレポートを精査しました。これには、「Flagged」に分類された課題が当社の投資プロフェッショナルの投資テーマにとって重要かどうか、これらの課題で企業の経営陣とのエンゲージメントがどの程度あったかを理解するための、当社の投資プロフェッショナルに対する質問も含まれていました。また、業界全体のトレンドを理解するために「Flagged」に分類された企業を審査しました。


モニタリングレポート2020を見る7


Explore the latest research and insights in our ESG perspectives library

ESGプロセスの各段階が継続的に改善するよう設計されています。これらの洞察を活用し、プロセス全体をさらに強化します。各セクターで一般的にフラグが付く課題は、2021インベストメント・フレームワークへと組み入れ、最もフラグが多く付いた課題はテーマ別リサーチアジェンダに追加しています。


提起された問題が企業の長期パフォーマンスにとって重要であると判断した場合には、通常はその問題について企業とのエンゲージメントを実施します。


継続的改善の重要性


興味深いことに、外部フラグは、ESGリスク指標(例えば、脆弱な人材管理手法など)上の持続的なアンダーパフォーマンスよりも、頻繁に事象(収賄疑惑、有害廃棄物など)を特定する傾向があることが、当社のレビューから分かりました。多くのケースで、問題のある企業は問題の原因を改善するための適切な手段を取っているのに、外部評価機関のスコアでは捉え切れていないことがわかりました。これは、モニタリングと平行してエンゲージメントを組み入れるESGプロセスを持つことの重要性を浮き彫りにしています。


investment strategies during election

私たちは、このエンゲージメントは投資結果をサポートすることができると考えています。MSCIの自社スコアの調査は、ESGのトップ企業にのみ焦点を当てるというよりも、むしろ改善の可能性があるスコアの検証が理にかなっていることを裏付けています。2015年、MSCIは、業界トップクラスのESG企業(ティルト投資戦略)と、過去12か月間ESGスコアが改善している企業(モメンタム投資戦略)を比較する分析を実施しました8。2007年2月から2015年3月までの間、ESGモメンタムは、ESGティルトを年率平均で1.1%アウトパフォームしており、MSCIワールドを2.2%アウトパフォームしていました。


これは、長期的な体系的課題やパフォーマンスよりも、事象に注目しており、また当社のセクター別インベストメント・フレームワークの重要性も強調しています。30以上のフレームワークは将来の価値創造に重要と考えるESGの問題に着目しており、そうした課題が企業によってどのように管理されているかを検証しています。このアプローチによって将来のESGリスクに関する独自の視点を得ることができます。


当社のモニタリング開示方法


2021年8月末時点で、追加精査のため、平均で保有銘柄数の3%から11%が「Flagged」に分類されます9。ESGの透明性は重要であることを認識しています。クライアントはプロセスが実際にどのように機能するかが示されていることに価値を置きます。そのため、当社は最近コーポレート・モニタリング・プロセスの結果のファンドレベルでの開示を追加し、どの保有銘柄が詳細なレビューが必要として「Flagged」に分類されているかを開示しています。


ESGモニタリングプロセスはどのように動作するか10


企業銘柄は、複数の大手情報データプロバイダーとリスク手法を活用して、重要なESGの問題を体系的にモニタリングされています。これらは国連のグローバルコンパクトの評価のほか、MSCIとサステナリティックスによる評価も含みます。


代表的な世界株式ポートフォリオを例にとると、6月末現在で保有銘柄のうち15銘柄(5%)がESGモニタリングプロセスで「Flagged」に分類されています。これら銘柄については、当社のアナリストが常に監視し、厳格なリサーチとエンゲージメントの対象としています。


モニタリングプロセスと開示には第2の利点もあります。外部評価機関のデータは市場全体での使用が増えているため、ある企業の「市場の見解」と、当社の見解と異なる理由を理解する助けとなります。当社のクライアントは、MorningstarやMSCIが提供するものなど外部のESGツールを使用して、ポートフォリオの保有銘柄にスコア付けします。当社のモニタリングプロセスは、ESGのリスクに対処するために外部データの先を行く助けとなります。


モニタリングで強化されるプロセスの他の要素


私たちは、投資のマテリアリティに根差し、キャピタル・システムを補完する、ESG統合への体系的なアプローチにコミットしています。モニタリングはこれをどう実施するかの重要な部分です。また、プロセスの全ての分野で持続的な改善を推進することも約束しています。モニタリングも例外ではありません。ESGデータが時間と共に成長し成熟するにつれ、継続的にプロセスを前進させます。


1.特定の銘柄は現在、外部のモニタリング機関の対象外です。


2.出所:キャピタル・グループ


3.注記:ソブリン債のモニタリングには個別のプロセスが適用されます。出所:キャピタル・グループ、MSCI、サステナリティックス


4.ベルグ、フローリアン、コルベル、ジュリアンとリゴボン、ロベルト。2019年 "Aggregate Confusion: The Divergence of ESG Ratings." MIT スローンスクール研究報告書 5822-19, MIT スローン経営スクール、ケンブリッジ、 MA。


5. 出所:キャピタル・グループ、MSCI、サステナリティックス。2020年12月31日現在ESG:環境 社会 ガバナンス。出所:キャピタル・グループMSCI ACWIは、40を超える先進国および新興国のインデックスで構成される、世界の先進国および新興国の株式市場の結果を測定するための、浮動株調整後の時価総額加重指数です。* さまざまな環境や社会的側面全体でMSCI、RobecoSAM、およびサステナリティクスを対象とした。y = -0.2837x + 4.674。 R² = 0.1887.


6. American Accounting Association, "Why is Corporate Virtue in the Eye of the Beholder? The Case of ESG Ratings," April 8, 2021.


7.出所:キャピタル・グループ


8. Nagy, Zoltán, Kassam, Altaf and Lee, Linda-Eling. 2015年6月。 "Can ESG Add Alpha? An Analysis of ESG Tilt and Momentum Strategies." MSCI ESG Research Inc.


9.キャピタル・グループの米国資産に基づく


10.データは2021年6月30日時点。出所:キャピタル・グループモニタリングした保有銘柄は社債と保有株式を含みます。注記:当社がモニタリングに使用するESGデータ提供機関によって現在評価がされていない少数のファンドの保有銘柄があります。


投資に先立ち検討すべきリスクファクター:

  • 本資料は、投資に関する助言の提供を意図したものでも、個人的な推奨を目的としたものでもありません。
  • 投資の価値および投資収益は減少することも増加することもあり、当初投資額の一部または全部を失うことがあります。
  • 過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
  • 投資に使用した通貨が、ファンドの原資産の投資に使用された通貨に対して上昇した場合、投資の価値は低下します。為替ヘッジはこのリスクを抑えるためのものですが、ヘッジが完全に成功するという保証はありません。
  • 戦略によって、債券、新興市場やハイイールド債に投資することがありますが、これに伴いリスクが発生します。新興市場は変動が激しく、流動性の問題に直面することがあります。


Jessica Ground is global head of ESG at Capital Group. She has 25 years of industry experience (as of 31 December 2022). She holds a bachelor's degree in history from Bristol University and is a member of the CFA Institute.

Ali Weiner is head of ESG engagement with 10 years of industry experience (as of 31 December 2022). She holds an MBA from the Stanford Graduate School of Business, a Masters of Public Administration (MPA) from the Harvard Kennedy School of Government, and bachelor's degrees in history and political science from Yale University.


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