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2023年の見通し

新たな投資環境


グローバル株式市場は新たな環境に突入しています。


株式市場ではグロースからバリューへのローテーションが注目されましたが、この見方は短絡的に過ぎると考えています。 一部の投資家は、インフレが落ち着き利上げが停止されれば、市場は通常の状態に戻ると予想しています。しかし私は、今 後10年の投資を左右する多くの変化が同時に起こっているとみており、市場の見通しは改める必要があると考えています。


金利低下の時代から金利上昇の時代へ:インフレ率は1980年代初期以来の最高水準に達し、過去40年にわたって低下基調 だった金利は上昇に転じました。金利サイクルの反転は予想より大幅に時間がかかることがあるため、インフレは長期化す る公算が大きいと考えます。したがって、私は負債比率が高い企業に対してとりわけ慎重になっています。資金はもはや「タ ダ」ではないため、利益に占める債務返済の割合は高まります。自社の成長のために資金を捻出できる企業が特に魅力的であ ると考えます。


市場の上位企業への集中度合いは低下:過去10年間は少数のテクノロジー企業の株価上昇が市場を牽引してきました。その 陰で、新たなビジネスは従来産業の上に成立するという事実が見過ごされていました。デジタル・ファースト企業がなくな るわけではありませんが、今後は実物資産の生産者にもスポットライトが当たる見通しです。また、さまざまな企業が市場 の牽引役となることが期待され、インデックス投資よりもストックピッカーにとって望ましい環境と考えられます。


サプライチェーンはグローバルからリージョナルへ:数十年間にわたって続いてきたサプライチェーンのグローバル化のト レンドも転換点を迎えています。企業はこれまで、製造拠点を海外に移転して経費を削減してきましたが、危機への対応力 よりも効率性を重視する経営方針の限界が明確になりました。地政学リスクの高まりやコロナ禍を背景に、企業はサプライ チェーンの一部の混乱により全体に支障が生じないよう、サプライチェーン全体の冗長性の確保に取り組んでいます。さま ざまな産業で設備投資が増加する見通しで、時流を捉えた企業が黄金期を迎える可能性があります。


この他にも、経済や市場の変化は数多くあり、歴史的な変革期に差し掛かっていると言えるでしょう。過去10年間は晴天続 きでしたが、雲行きが怪しくなってきました。これは一見悲観的な状況と思われるかもしれませんが、地域やセクター、ス タイルにとらわれずファンダメンタルズを重視するボトムアップ投資家として、新たな投資環境に適応するための良い機会 であると私は考えています。



過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資の価値および投資収益は減少することも増加することもあり、当初投資額の一部または全部を失うことがあります。本情報は投資、税務もしくはその他の助言の提供、または証券の売買の勧誘を意図するものではありません。

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